ESXiでNICを冗長化する際に、LACPで構成したい場合は、いくつか注意点が必要です。ちなみに、LACPとは、複数の物理的なポートを束ねてひとつの論理的チャネルとして扱うためのプロトコルのことで、IETFによる標準規格のひとつであるIEEE 802.3adの中で規定されています。
まず、注意点の一つとして、ESXiでLACPを構成するには、vDSが必須です。
情報元はVMwareの公式サイト。
vSphere Web Client を使用したアップリンク ポート グループでの LACP の構成 (2097845)
https://kb.vmware.com/s/article/2097845
以下は抜粋ですが、太字の部分にVDSでのみLACPがサポートされているとありますね。
VMware vSphere 5.1 から、VMware では vSphere Distributed Switch (VDS) でのみ Link Aggregation Control Protocol (LACP) がサポートされています。
注:Link Aggregation Control Protocol (LACP) は vSphere Web Client 経由でのみ構成可能です。
LACP は、帯域幅と冗長性を増やすため、複数の物理ネットワーク リンクのバンドルを制御し、論理チャネルを形成する、標準ベースの方法です。LACP を使用すると、ネットワーク デバイスは、LACP パケットをピアに送信することで、リンクの自動バンドルをネゴシエートできます。
LACP は、プロトコルが有効化されているすべてのリンクに対してフレームを送出することによって動作します。リンクの受信側で LACP が有効化されているデバイスが検出されると、そのデバイスからも同一のリンクに沿って別個のフレームが送出され、それら 2 つのユニット間で複数のリンクを検出し、1 つの論理リンクに集約します。
この動的プロトコルには、前のバージョンの vSphere でサポートされる固定リンク集約方法と比べて次のメリットがあります。
プラグ アンド プレイ – 自動的に構成し、ホストとアクセス レイヤー物理スイッチ間をネゴシエートします。
動的 – リンク障害、配線の間違いを検出し、リンクを自動的に再構成します。続いて、vDSを使用するには、vCenterサーバが必要になるので、そこも注意ですね。さらに、スイッチ側でもLACPの設定をしておく必要がありますので、ネットワークの担当が異なる場合には連携が必要です。
また、5.1だけの制限かもしれませんが、LACP が有効化されたアップリンク ポート グループでは、ロード バランシング ポリシーが「IP ハッシュのロード バランシング」である必要があります。
アップリンク ポート グループでの LACP の構成
注:LACP が有効化されたアップリンク ポート グループでは、すべてのポート グループで次の設定を行う必要があります。ロード バランシング ポリシー: 「IP ハッシュのロード バランシング」、ネットワークの障害検出ポリシー: 「リンク状態のみ」、すべてのアップク: 「アクティブ」
また、vDSはESXiの台数が多い時に管理が容易になります。vCenterを通じて、一度に設定をすることができます。vSSの場合は、ESXi毎に設定が必要ですからね。台数が多い場合、設定もれなどが発生する可能性があるので、vDSは運用管理の負担軽減になります。
また、VMware NSXを導入する場合にも必須の機能となります。