よろづやアンテナ

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企業の工数(コスト)計算のマジック。人によって業務量が全く異なる事実

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私は以前、建築現場で作業をしていた頃から思っていたのですが、人によって作業量やスピードは全く異なります。とりわけIT業界は顕著で、人によって、作業や業務かかる時間が圧倒的に異なる場合があります。


例えば、サーバ構築でもAさんが1日で終わるものが、Bさんだと3日以上かかるという事がざらにあります。他にも、手順書、設計書などの資料作成も同じです。 


同様に実績のある人が構築するシステムと素人が集まって作るシステムでは、時間だけでなく、作り上げられるシステムのクオリティーも異なります。


以前、派遣会社の支店で受諾案件をとる戦略で、有能なNWエンジニアがいない中、NW案件がスタートし、約1年かけてもお客が望むシステムが構築できず、結果、それまでにかかった機器代、回線費用など返金するような話になっていました。売り上げもあがらず、工数だけ無駄にかかり、まさに大赤字ですね。


この場合は、人件費だけでなく、構築に必要な機器代、回線費用まで会社が捻出する羽目になったのです。


要約すると、工数はその仕事に携わる人のスキルで、大きく変動する事が多い」という事です。


工数管理は業務時間の計算でしかない

よく企業では案件のコストを計算する為に、工数管理を行う事が多いと思います。時間単位でどのような業務をしているかを算出して、案件のコストを算出するのが目的です。


しかし、この工数管理には数字のマジックが隠されています。よく案件の稼働が上がってくると、人事などから指摘があり、上司などから残業時間を減らす工夫をするように指示されることがあります。
 

工数が、実際に作業にかかった時間であると計算するのであれば、その指摘は正しいと思います。しかし、この工数の数字には隠された事実がある場合があります。


それは、業務にかかわる人すべてのスキルです。


前述でも書きましたが、スキル如何で業務にかかる工数は大きく変わります。その為、優秀な人材であれば黒字に、スキルが少ないメンバーで業務をすれば、赤字になるという事は大いにあるのです。その為、数字だけ見ると現場で起きている事実は見抜けません。


その為、現場リーダーは工数が実際にどこで発生しているのかを把握する必要があります。これができていない上司ほど、「残業を減らせ」と簡単に指示してくることがあるのです。

 



以下のようなケースでは、工数が増大する可能性が秘めていますので、単に売上を黒字に見せたいのであれば、事前に体制を整えておく事を強く勧めます。

・新人がメンバーにいる
・人の入れ替えが予定されている
・全体的にスキルが低い


続いて、これに関連して考えなくてはならないのは、メンバーのスキルです。業務の黒字化、赤字化もここにつきると言えます。これは、仕事の内容によって変わります。


工場などのルーチンワークであれば、それほど大きな差はでませんが、システムエンジニアで設計・構築業務になるとこの工数は顕著に出ます。


スキル不足がもたらす工数(コスト)の増大

スキル不足がもたらす弊害を考える必要があります。もし、新人や未経験のメンバーを教育やスキルを目的にしているのであれば、最初から工数が赤字になることは計算に入れておく必要があります。


また、スキルが少ないメンバーが投入される場合も一緒です。仕事ができるメンバーがフォローする必要があり、彼らの工数が跳ね上がる事が予想される為、この場合もある程度の赤字は予測しておきます。

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しかしながら、多くの場合、売り上げの赤字は見ても、その内部の状況を細かく分析し、判断している組織が少ないと感じています。売り上げに対する黒字、赤字という2側面だけはなく、その背景にある問題を分析することこそが、重要なのです。


結論、工数管理からは本質は見抜けません。見えるのはメンバーがかかった業務時間だけです。


そして、人事部は現場を知らない為、その本質を見抜くことができません。だからこそ、現場のリーダーがきちんと業務の内情を調査し、理解する必要があるのです。それにより、例え、売り上げが赤字であっても、それが正当なものなのか、正す必要があるのかを判断できるようになります。


そして、現場の状態をきちんと把握する事こそが、本当の意味での工数削減につながるのです。

 

なぜ、システム開発は必ずモメるのか?