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50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?[林 總氏]②


前回に引き続き、「50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?」を読み終わって学んだ内容を書きたいと思います。


こちら過去記事↓

ityorozuya.hatenablog.com




ヒカリは安曇の指示の元、ロミーズで働く事になるわけですが、ロミーズでの実習は単調な毎日でした。


最初は、こんな実習なんて無駄で、学校で勉強している方がためになると考えていました。


しかし、あるきっかけで、ロミーズ千の端店の「月次決算書」を見てしまう。中身を見ると、あるコメントを見る。


「今月で24か月連続赤字。コスト削減努力が不十分」

「人件費が売上高に対して40%を超えている。これを30%に抑える必要がある。明日までに、アルバイトの削減計画書作成のこと」


そう、企業が経営不振になると行われるリストラです。

 
それを見て、ヒカリは決断します。このお店でもう少し頑張ってみようと。そこでヒカリは安曇に相談する事にします。


そこの会話がまた、学ぶべき点が多くあります。


ヒカリが赤字について質問をします。その質問に対する安曇の回答がまた、うまいのです。


安曇は例え話で、自分が若いころに気管支炎にかかった話をします。2週間ほどで回復したが、ほんとうはもっと早い段階で診察してもらうべきだったと。


会社の赤字は、病気にかかって熱が37度を超えている状態と考える。熱が出たからすぐに命を落とすわけではないが、軽く考え肺炎などになると、危険な状態になる。これは会社も一緒で、赤字が続いた場合に、その原因を解明せずに、治療をしないと、会社の寿命を縮める事になりかねないと。


ここでは黒字倒産というキーワードも出ていますが、重要なのはお金が回っている事とあります。


会社が生き残る為には資金繰りの改善が必要

私の仕事はシステムエンジニアで、仕事上でお金の事を考えた事が、ほとんどありません。それは、業務上、見積もりを作ったりすることもあるので、部分的なお金のやりとりは見ますが、実際に企業としての資金繰りなどは、一般社員では考えることはないと思います。


以前の記事でも書きましたが、私は物販を経験した事により、小規模ながら、資金繰りの重要性を知りました。それは、手元にあるキャッシュです。


掲載されたBig Tommrowを見てもらえばわかるのですが、私はある商品を爆発的に売る事ができました。その時は、手元に数十万円しかキャッシュがありません。また、仕入れはeBayで行う為、クレジットカードで行います。


掲載された2014年4月号



商品がすごい勢いで売れていくので、私も負けじと商品を仕入れていきました。


その結果、5枚のクレジットカードが利用残高がゼロになるという状況になりました。そこで、初めて気づいたのですが、私は100万円以上の仕入れをしている事に気が付きました。


その時、突然冷や汗が出たのを憶えています。なぜなら、私が銀行に持っているお金よりも大きい金額の商品を仕入れていたからです。


つまり、クレジットカードの請求時に、商品を売り切っていなければ、クレジットカードの支払いができない事になります。つまり、ビジネスが止まります。


そう、いくら売れる商品があっても、それを仕入れるお金、そして、借金(私の場合はクレジットカードの請求)を支払うキャッシュがなければ、そのビジネスは停止してしまうのです。


私の場合は、個人だからやりかた次第でなんとかなるかもしれませんが、企業だとそうはいきません。基本的に企業は銀行から借り入れをしている事が多く、もし支払いが滞り、不渡りが起きれば、銀行からの融資もストップし、会社が倒産するという事も考えられます。


人員整理とバイト代の一律カット

経営不振の企業がよく行う対処法の一つがリストラです。勢いがあるうちは、人を増やしていきますが、経営が傾けば、コスト削減の一環として、人員削減を始めます。


書籍内でも、赤字続きの千の端店では、コスト削減の一環として、以下の対応を始めます。

・アルバイトの人数を削減する
・従業員全員の時給を一律50円カットする


実際、このコスト削減の効果により、赤字は削減できた。しかし、依然として赤字のまま。それこで、さらなるコスト削減、効率化をしていくようになります。


そこで、猪木が出した具体的なアクションプランを書きます。

・来客数を増やす(食事の済んだお客様は早めにお帰り頂く)
・客単価を上げる(高額メニュー、セットメニューを積極的にすすめる)
・ライス、サラダ、アイスクリームの量を10%減らす
・各テーブルに備え付けの醤油とソースを撤去する
・サラダバーとドリンクバーつをランチと夕食時に制限する
etc


このあたりの文章を見て気づいた人がいるのではないでしょうか。そう、顧客の気持ちを無視して、効率化を優先したマクドナルドです。


利益を増やす為に、直営店からフランチャイズ化。これにより、社員、アルバイトのサービス品質が低下。メニューを撤去。そして、今起きている様々な問題。


そう、会社が顧客の気持ちを無視して、やりはじめる戦略なんてものは、最初は利益を出せるでしょうが、顧客離れにつながり、最終的には損益を出すことになります。


今回、顧客を無視した経営を続けた経営戦略は、猪木が考えた立て直し戦略をなんら変わりがないのです。


そして、社員、アルバイトは会社が頭脳であるとするならば、手足になります。コスト削減で人員削減、給与削減をしていくと、社員、アルバイトの不満はたまり、その不満は仕事にもでるようになります。


その接客態度は、顧客にも伝わり、それも顧客離れにつながる要因になります。


この人員カットの主な例が、すき家のワンオペ問題です。この徹底した人員削減により、結果、会社に大きな大打撃を与える状況になったのです。


失敗する経営戦略を見ていくと、多くの場合、顧客を無視した自己中心的な戦略をとったり、社員に痛みを伴わせるコスト削減をとろうとします。しかも、残念なのは、普段から業務改善をしないわりに、売り上げ、利益が下がりだすと、強引な療法をとろうとするのです。


よく言われますが、風邪を治すのは風邪薬ではありません。風邪薬は、あくまで症状を緩和させているにすぎません。本当にしなければならないのは、風邪を引きにくい体調管理です。


この体調管理は、企業が常に行わなければならない事なんです。


会社は生き物によく例えられますが、常に健康管理は怠らないようにしなくてはですね!

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50円のコスト削減と100円の値上げでは、どちらが儲かるか?