ルータの冗長化でよく利用されるのがHSRP、VRRPですが、OSPFの等コストによりロードバランスされる環境においてのHSRPの動作について意外と知らない人が多かったので共有します。
まず、以下のような構成でOSPFを構成します。構成はすごくシンプルで、 ルータ4台でOSPFを構成。PC1側を拠点A、PC2側を拠点Bというような想定で、ルータ間はHSRPを構成しています。
この構成の場合、通常時のPC1 - PC2間の通信は、以下のような経路になります。
■通信経路
[PC1]⇒[SW1]⇒[RT1]⇒[RT3]⇒[SW3]⇒[PC2]
では、実際に障害が発生した場合を想定してみます。上記構成で等コストによるロードバランスが利用される障害パターンを例に出します。
【RT1-SW1間のリンク障害】
以下の障害では、HSRPは切り替わらず、PC1の通信はSW間の渡りを経由して、RT2へ向かいます。RT2のルーティングテーブルでは、PC2までの経路は等コストにより2経路見えます。
計算してもらえばわかりますが、経路①、経路②はともにコスト「3」になります。
■通信経路
①[PC1]⇒[SW1]⇒[SW2]⇒[RT2]⇒[RT1]⇒[RT3]⇒[SW3]⇒[PC2]
②[PC1]⇒[SW1]⇒[SW2]⇒[RT2]⇒[RT4]⇒[RT3]⇒[SW3]⇒[PC2]

私の周りでは、HSRPは必ずActiveルータを経由すると思っている人がいます。HSRPはあくまでゲートウェイの冗長なので、構成によっては想定外の通信経路になることもあります。
上記のようなケースで障害が発生した場合に、RT1を経由させたくない場合は、ルータ間のコストを変更することで経路を調整する事が可能です。
NWの設計で重要なのは、要件に基づいて想定通りの経路を通る事なので、障害試験はきちんと行いましょう!